第21回日本中性子捕捉療法学会学術大会

第21回日本中性子捕捉療法学会学術大会

ご挨拶

大会長:益谷 美都子

大会長:益谷 美都子
長崎大学 医歯薬学総合研究科 医学部
分子標的医学分野・分子標的医学研究センター教授

 この度、「第21回日本中性子捕捉療法学会学術大会」の大会長を拝命いたしました長崎大学の益谷美都子です。今大会は2025年(令和7年)7月25日(金)・26日(土)の2日間、長崎県長崎市坂本にある本学医学部 記念講堂・良順会館にて開催させていただくことになりました。

 日本中性子捕捉療法学会(JSNCT: Japanese Society of Neutron Capture Therapy)は、日本中性子捕捉療法研究会として発足し、2003年に第1回学術集会が京都大学原子炉実験所小野公二教授(現大阪医科薬科大学BNCT共同臨床研究所所長)によって開催されました。2005年に第2回を筑波大学松村 明教授が開催され、その後第3回より日本中性子捕捉療法学会と改名されて毎年学術集会を開催しております。さらに、昨年1月には一般社団法人となり、本年の学術集会は法人として開催する二回目の、また初めての九州での学術集会となります。

 JSNCTは、中性子捕捉療法(NCT)及びこれに関連する医学、生物学、化学、薬学、工学等諸領域の集学的学問体系を基盤として、研究の連携及び促進を図り、学術の発展と医療への展開とこれに寄与する人材の育成を目指しております。本邦で先導して進められてきた原子炉での中性子照射体系を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT, boron neutron capture therapy)の研究から加速器を用いた中性子照射体系への研究展開を本学会は長年支えてきており、2020年の再発頭頸部癌での保険収載以降、脳腫瘍や皮膚疾患の領域などで適応拡大に向けた検討が進みつつあります。国際的にもアジアや欧州での加速器型BNCTシステムの導入も行われつつあり、今後の医療展開が大いに期待されるところであり、国際的な見地からのBNCTの医療展開の協働も求められているところです。

 第21回の学術大会ではテーマを「Expanding Horizons for NCT」といたしました。関連の多くの領域の医療関係者及び基礎及び臨床の研究者によって、さまざまな視点から学際的な有意義かつ活発な議論がなされ、本大会がNCTの医療としての展開とこれを支える学際的研究、さらに人材育成の推進に役立つことを願っております。学術大会前日の24日夕方にはBNCT講習会、学術大会翌日の7月27日(日)午後には場所を市中の長崎新聞文化ホールアストピアに移して市民公開講座を開催いたします。

 長崎大学医学部は西洋医学の発端の地でもあり、キャンパスには原爆遺構があり、原爆後障害医療研究所が設置され、中性子と医療の関係には特に関心が深い地でもあります。長崎市は「100年に一度の変革期」にあり、街の中心部では多彩な施設が建設されています。また県内に点在する世界遺産や名所、旧跡などで和華蘭文化も探訪いただければと思います。
 是非、多くの皆様にご参加いただき、活発な議論と意見交換、交流が行われ、NCTの新たな地平の開拓につながることを願っております。

 2025年1月

ページトップ